便秘症
1.便秘症とは
2.便秘症の診断
3.便秘の原因
4.便秘症は大腸腫瘍のリスク
5.便秘症の治療
6.最後に
便秘症とは、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態が続くために日常生活に支障が出ていることです。
便の回数が少ないというだけでなく、便の量が少ない、便が残っている感じや便が硬いために苦しいこと、お腹が張る感じなども便秘といいます。
便秘症の多くは長い期間続いているものですが、中には急に症状が出るものもあり、緊急の対応を要するものもあります。
下記のうちで2項目以上を満たす場合が便秘症と診断されます。6カ月以上続いていると慢性便秘症といいます。
・強くいきむ習慣があること
・便がウサギの糞の様であったり硬いこと
・残便感(便が残っている感じ)があること
・直腸肛門の閉塞している感じや排便するのに困難な感じがあること
・摘便などの介助が必要なこと
・排便回数が週3回未満
さまざまな原因があります。主なものとしては下記のようなものがあります。
・腹圧低下、直腸収縮力低下などの機能的な障害
・食欲繊維などの摂取不足
・大腸がんやクローン病など大腸の器質的異常
・その他の疾患、例えば糖尿病、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、脳血管障害、パーキンソン病、脊髄障害、強皮症、皮膚筋炎、うつ病などの疾患によるもの
・薬剤によるもの
・加齢の影響
・朝食を摂取しないことや、1回の咀嚼回数が少ない方や、1日の水分摂取が1500ml以下の男性や、ダイエット経験のある女性にも便秘が多くなります。
便秘症の方は大腸がん大腸がんのリスクが1.5倍、大腸良性腫瘍が2.6倍になると言われているため、便秘症の方は、一度は内視鏡の検査を受けることをお勧めします。
特に下記に当てはまる方は、大腸に何らかの病気を抱えているリスクが高いため、できるだけ大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。
・排便習慣が急激に変化した
・体重が減少した
・血便が出る
・腹部にしこりを触れる
・50歳以上になって便秘を発症した
・今までに大腸の病気になったことがある
・ご家族の方に大腸疾患の人がいる
治療としては、食事療法と運動療法と薬物療法があります。
食事療法
食事摂取をすることによって腸が動くため、規則正しい食事を摂ることで、毎日決まった時間に便が出やすくなります。
食物繊維は1日あたり成人男性20g以上、成人女性18g以上摂取することが目安です。主食は小麦より米や豆類由来の食物繊維が多く含まれる食事を摂ることで、便の量が増えて排便されやすくなります。
ヨーグルトなどの乳酸菌食品を摂取することも効果的です。
また水分を十分とることで便が軟らかくなり、出やすくなります。
運動療法
運動をすることによって血液循環が改善され、腸管の運動が活発になります。
また、呼吸や体動によって物理的に腸管が動かされることによって、腸の運動が亢進します。
運動は毎日30分程度で週3回、できれば毎日行います。
慢性便秘症の改善には、他には1日15分、週5回の腹壁マッサージも有効といわれています。
薬物療法
食事や運動によっても改善が乏しい、あるいは様々な制限でそれらの行うことが難しい場合などには、便秘薬を用います。
便秘薬には、便性状を適正化し便量を増やして排便しやすくする薬剤や、大腸を刺激して出す刺激性下剤があります。
市販薬の多にも同様の成分が含まれる刺激性下剤は、即効性がありますが効きにくくなって便秘が難治性になることもあるため、長期間の連用や避けて適切に使用していく必要があります。
その他、便秘薬として漢方薬や消化管善蠕動改善薬や浣腸剤なども用いることがあります。
便秘があるとは自分からなかなか言いにくいこともあるかもしれません。しかし、便秘症の方は非常にたくさんいます。当院は便秘症を含めた消化器系の病気や悩みを特に専門としています。快適な排便と健康のために、いつでもお気軽にご相談下さい。