HPVワクチン
1.公費(無料)で接種できる方
次の方は、定期接種として公費(無料)でHPVワクチンを接種できます。
接種機会を逃した平成9年度~平成20年度生まれの女性を対象とした「キャッチアップ接種」は、初回接種が2025年3月31日で終了し、1回以上接種済みの方の残り回数を公費で接種できる経過措置も2026年3月31日をもって終了しました。現在、キャッチアップ接種としての公費接種はできません。
※対象年齢を過ぎた方も、自費での接種は可能です。ご希望の方はご相談ください。
2.HPVワクチンとは
HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。HPVは主に性的接触によって感染するごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある人の多くが一生に一度は感染するといわれています。感染しても多くは自然に排除されますが、一部の型のウイルスが感染し続けると、子宮頸がんのほか、中咽頭がん・肛門がん・腟がん・外陰がん・陰茎がんや、尖圭コンジローマ(性器のいぼ)の原因となります。
HPVワクチンは、がんの原因となりやすい型のHPVの感染をあらかじめ防ぐことで、将来の子宮頸がんなどを予防します。ウイルスに出会う前(性交渉を経験する前)に接種することが最も効果的です。
3.子宮頸がんの現状
日本では毎年約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2,900人が亡くなっています。
子宮頸がんは、ほかの多くのがんと違い、20歳代の若い世代から増え始めるのが大きな特徴です。妊娠・出産を迎える世代と発症のピークが重なるため、「マザーキラー」とも呼ばれています。30歳代までにがんの治療で子宮を失い、妊娠できなくなってしまう方も1年間に約1,000人います。
下のグラフは、女性10万人あたり1年間に何人が子宮頸がんと診断されるか(年齢階級別罹患率)を示したものです。24歳頃までほぼゼロだった罹患率が、25歳を過ぎると急に立ち上がることがわかります。だからこそ、ウイルスに出会う前の10代のうちにワクチンを接種しておくことが大切です。
4.ワクチンの種類と効果
日本では3種類のHPVワクチンが承認されており、いずれも定期接種で使用できます。
| ワクチン | 予防できるHPVの型 | 子宮頸がんの原因を カバーする割合 |
|---|---|---|
| 2価 サーバリックス | 16型・18型 | 約50~70% |
| 4価 ガーダシル | 16型・18型+6型・11型 (6・11型は尖圭コンジローマの原因) |
約50~70% |
| 9価 シルガード9 | 上記4つの型+31・33・45・52・58型 | 約80~90% |
令和5年4月からは、最も予防範囲の広い9価ワクチン(シルガード9)も定期接種(無料)の対象となっています。原則として、同じ種類のワクチンで規定の回数を接種します。すでに2価・4価で接種を始めた方が残りの回数を9価に変更する「交互接種」も、医師とよく相談したうえで可能です。

5.接種方法とスケジュール
HPVワクチンは腕への筋肉注射です。一定の間隔をあけて、合計2回または3回接種します。

6.男性への接種について
HPVは男性にも感染し、中咽頭がん・肛門がん・陰茎がん・尖圭コンジローマなどの原因となります。日本では4価ワクチン(ガーダシル)と9価ワクチン(シルガード9)が男性への接種に承認されています。
男性が接種することで、ご自身のがんや性感染症を予防できるだけでなく、将来のパートナーへのHPV感染を防ぎ、子宮頸がんの予防にもつながることが期待されています。海外の大規模データでは、9価ワクチンを接種した男性で中咽頭がんなどの頭頸部がんのリスクが低下したという報告もあります。
7.接種後の注意と副反応
比較的よくみられる症状
接種した部位の痛み・腫れ・赤みは比較的よくみられますが、体がワクチンに反応して免疫をつくる過程で起こる症状で、通常は数日以内に自然に治まります。
また、注射の痛みや緊張・不安がきっかけで、めまい・ふらつき・失神(血管迷走神経反射)を起こすことがあります。これはワクチンの成分によるものではなく、思春期のお子さんに起こりやすい反応です。転倒を防ぐため、接種後30分程度は院内で座って安静にお過ごしいただきます。注射が苦手な方・怖いと感じる方は、事前にスタッフや医師へ遠慮なくお伝えください。
まれな重い副反応
ごくまれに、重いアレルギー反応(アナフィラキシー:呼吸困難・じんましんなど)や神経系の症状(ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎など)が報告されています。接種後に気になる体調の変化があった場合は、すぐに当院へご相談ください。
万一、重い健康被害が生じ、厚生労働大臣が定期の予防接種によるものと認定した場合は、救済給付の対象となります。→ 予防接種健康被害救済制度(厚生労働省)
8.かつて「ワクチンの副作用」と報道された症状について
2013年頃、HPVワクチン接種後に慢性的な痛みや体の動かしにくさなどの多様な症状が報道され、国は約9年間にわたり接種の積極的なおすすめ(積極的勧奨)を一時中止しました。この間に接種率は大きく低下しました。ご不安に感じている保護者の方も多いと思いますので、その後の科学的な検証結果をご説明します。
一方で、接種後に実際につらい症状を経験された方がいらっしゃることも事実です。原因がワクチンかどうかにかかわらず、症状に悩む方が適切な診療を受けられるよう、各都道府県に協力医療機関が設置されています(三重県では三重大学医学部附属病院)。接種後の体調について心配なことがあれば、まずは当院へご相談ください。
9.20歳からは子宮頸がん検診も受けましょう
HPVワクチンは非常に有効ですが、すべてのHPVの感染を防げるわけではありません。子宮頸がんを早期に発見して治すために、ワクチンを接種した方も、20歳になったら2年に1回、婦人科で子宮頸がん検診を受けることが大切です。「ワクチン」と「検診」の両方で、子宮頸がんはほぼ防ぐことができるがんです。
10.よくあるご質問(FAQ)
院長 前川 直志
※ワクチンの在庫をご用意するため、ご予約をお願いしています。津市発行の予診票をお持ちの方はご持参ください。










