HPVワクチン

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)のご案内|津市 前川内科
最終更新:2026年7月/文責:前川内科 院長 前川 直志
HPVワクチンは、子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンです。小学6年生~高校1年生相当の女子は公費(無料)で接種できます。前川内科(津市)では、HPVワクチンの相談と接種を行っています。

1.公費(無料)で接種できる方

次の方は、定期接種として公費(無料)でHPVワクチンを接種できます。

小学6年生~高校1年生相当の女子(標準的には中学1年生での接種がすすめられています)
キャッチアップ接種は終了しました
接種機会を逃した平成9年度~平成20年度生まれの女性を対象とした「キャッチアップ接種」は、初回接種が2025年3月31日で終了し、1回以上接種済みの方の残り回数を公費で接種できる経過措置も2026年3月31日をもって終了しました。現在、キャッチアップ接種としての公費接種はできません。
※対象年齢を過ぎた方も、自費での接種は可能です。ご希望の方はご相談ください。

2.HPVワクチンとは

HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。HPVは主に性的接触によって感染するごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある人の多くが一生に一度は感染するといわれています。感染しても多くは自然に排除されますが、一部の型のウイルスが感染し続けると、子宮頸がんのほか、中咽頭がん・肛門がん・腟がん・外陰がん・陰茎がんや、尖圭コンジローマ(性器のいぼ)の原因となります。

HPVワクチンは、がんの原因となりやすい型のHPVの感染をあらかじめ防ぐことで、将来の子宮頸がんなどを予防します。ウイルスに出会う前(性交渉を経験する前)に接種することが最も効果的です。

3.子宮頸がんの現状

日本では毎年約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2,900人が亡くなっています。

子宮頸がんは、ほかの多くのがんと違い、20歳代の若い世代から増え始めるのが大きな特徴です。妊娠・出産を迎える世代と発症のピークが重なるため、「マザーキラー」とも呼ばれています。30歳代までにがんの治療で子宮を失い、妊娠できなくなってしまう方も1年間に約1,000人います。

下のグラフは、女性10万人あたり1年間に何人が子宮頸がんと診断されるか(年齢階級別罹患率)を示したものです。24歳頃までほぼゼロだった罹患率が、25歳を過ぎると急に立ち上がることがわかります。だからこそ、ウイルスに出会う前の10代のうちにワクチンを接種しておくことが大切です。

年齢とともに増える子宮頸がん(年齢階級別罹患率)
0 10 20 30 10万人あたりの罹患数(人) ほぼ0 5.3 16.2 26.7 27.8 約23 約18 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40代 50代 60代 ▲ 25歳を過ぎると急に増える 出典:国立がん研究センター(2019年)
ワクチンの効果は実際のデータで確認されています
スウェーデンで約167万人の女性を追跡した大規模研究(2020年・ニューイングランド医学誌)では、17歳になる前にHPVワクチンを接種した女性は、接種しなかった女性に比べて子宮頸がんの発生が約88%少なかったと報告されています。日本国内でも、ワクチン接種世代でがんの前段階の病変(前がん病変)が減少していることが確認されています。

4.ワクチンの種類と効果

日本では3種類のHPVワクチンが承認されており、いずれも定期接種で使用できます。

ワクチン 予防できるHPVの型 子宮頸がんの原因を
カバーする割合
2価 サーバリックス 16型・18型 約50~70%
4価 ガーダシル 16型・18型+6型・11型
(6・11型は尖圭コンジローマの原因)
約50~70%
9価 シルガード9 上記4つの型+31・33・45・52・58型 約80~90%

令和5年4月からは、最も予防範囲の広い9価ワクチン(シルガード9)も定期接種(無料)の対象となっています。原則として、同じ種類のワクチンで規定の回数を接種します。すでに2価・4価で接種を始めた方が残りの回数を9価に変更する「交互接種」も、医師とよく相談したうえで可能です。

HPVワクチン3種類(2価・4価・9価)の比較

5.接種方法とスケジュール

HPVワクチンは腕への筋肉注射です。一定の間隔をあけて、合計2回または3回接種します。

9価ワクチンを15歳の誕生日前に接種開始した場合:6か月あけて合計2回で完了できます
15歳以降に接種を開始した場合:1回目→2か月後→6か月後の合計3回が標準です
すべての接種を終えるまでに約6か月かかります。高校1年生の方は9月末頃までに1回目を開始すると、無料期間内に完了しやすくなります
HPVワクチンの接種回数とスケジュール

6.男性への接種について

HPVは男性にも感染し、中咽頭がん・肛門がん・陰茎がん・尖圭コンジローマなどの原因となります。日本では4価ワクチン(ガーダシル)と9価ワクチン(シルガード9)が男性への接種に承認されています。

男性が接種することで、ご自身のがんや性感染症を予防できるだけでなく、将来のパートナーへのHPV感染を防ぎ、子宮頸がんの予防にもつながることが期待されています。海外の大規模データでは、9価ワクチンを接種した男性で中咽頭がんなどの頭頸部がんのリスクが低下したという報告もあります。

男性の接種は任意接種(自費)です
男性への接種は現在、定期接種ではなく任意接種のため原則自己負担となります(3回接種の場合、4価で5~6万円程度、9価で8~9万円程度が目安)。男性への接種費用を助成する自治体も全国で増えています。津市の助成の有無・最新の状況については、津市(健康づくり課)または当院までお問い合わせください。

7.接種後の注意と副反応

比較的よくみられる症状

接種した部位の痛み・腫れ・赤みは比較的よくみられますが、体がワクチンに反応して免疫をつくる過程で起こる症状で、通常は数日以内に自然に治まります。

また、注射の痛みや緊張・不安がきっかけで、めまい・ふらつき・失神(血管迷走神経反射)を起こすことがあります。これはワクチンの成分によるものではなく、思春期のお子さんに起こりやすい反応です。転倒を防ぐため、接種後30分程度は院内で座って安静にお過ごしいただきます。注射が苦手な方・怖いと感じる方は、事前にスタッフや医師へ遠慮なくお伝えください。

まれな重い副反応

ごくまれに、重いアレルギー反応(アナフィラキシー:呼吸困難・じんましんなど)や神経系の症状(ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎など)が報告されています。接種後に気になる体調の変化があった場合は、すぐに当院へご相談ください。

HPVワクチンの副反応の頻度
(クリックすると拡大できます)

万一、重い健康被害が生じ、厚生労働大臣が定期の予防接種によるものと認定した場合は、救済給付の対象となります。→ 予防接種健康被害救済制度(厚生労働省)

8.かつて「ワクチンの副作用」と報道された症状について

2013年頃、HPVワクチン接種後に慢性的な痛みや体の動かしにくさなどの多様な症状が報道され、国は約9年間にわたり接種の積極的なおすすめ(積極的勧奨)を一時中止しました。この間に接種率は大きく低下しました。ご不安に感じている保護者の方も多いと思いますので、その後の科学的な検証結果をご説明します。

名古屋市の大規模調査(約7万人・名古屋スタディ)では、報道で問題とされた24種類の症状(慢性疲労、関節の痛み、記憶力の低下など)の頻度を比較したところ、ワクチンを接種した人と接種していない人で差はありませんでした
厚生労働省の全国疫学調査では、HPVワクチンを接種していない同年代の女性にも、同様の多様な症状が一定の頻度でみられることが確認されました。つまり、こうした症状は思春期に接種の有無にかかわらず起こりうるものと考えられています。
WHO(世界保健機関)のワクチン安全性諮問委員会も、世界中のデータを継続的に検証したうえで「HPVワクチンは極めて安全である」との見解を繰り返し表明しています。
これらの結果を受けて、国の専門家会議は「安全性に特段の懸念は認められない」と結論し、2022年4月から接種の積極的なおすすめが再開されました。

一方で、接種後に実際につらい症状を経験された方がいらっしゃることも事実です。原因がワクチンかどうかにかかわらず、症状に悩む方が適切な診療を受けられるよう、各都道府県に協力医療機関が設置されています(三重県では三重大学医学部附属病院)。接種後の体調について心配なことがあれば、まずは当院へご相談ください。

9.20歳からは子宮頸がん検診も受けましょう

HPVワクチンは非常に有効ですが、すべてのHPVの感染を防げるわけではありません。子宮頸がんを早期に発見して治すために、ワクチンを接種した方も、20歳になったら2年に1回、婦人科で子宮頸がん検診を受けることが大切です。「ワクチン」と「検診」の両方で、子宮頸がんはほぼ防ぐことができるがんです。

10.よくあるご質問(FAQ)

Qキャッチアップ接種を逃してしまいました。もう接種できませんか?
A公費(無料)での接種はできませんが、自費での接種は可能です。産婦人科の診療ガイドラインでも、おおむね45歳までの未接種の方は医師と相談のうえで接種を検討することがすすめられています。費用や回数についてはお気軽にご相談ください。
Qすでに性交渉の経験がありますが、接種する意味はありますか?
Aあります。HPVには多くの型があり、すべての型にすでに感染していることはまれです。まだ感染していない型の予防効果が期待できるため、性交渉の経験がある方にも接種する意義はあります。
Q妊娠中・授乳中でも接種できますか?
A妊娠中の方は原則として接種を控え、出産後に延期します。接種の途中で妊娠がわかった場合は、残りの接種を出産後に行います。授乳中の接種については医師にご相談ください。
Q男の子でも接種できますか?
A接種できます。4価ワクチン(ガーダシル)と9価ワクチン(シルガード9)が男性への接種に承認されています。ただし男性は定期接種の対象ではないため、原則自費となります。詳しくは「6.男性への接種について」をご覧ください。
Qワクチンを接種すれば、子宮頸がん検診は受けなくてよいですか?
Aいいえ、検診も必要です。ワクチンで防げない型のHPVもあるため、20歳になったら2年に1回の子宮頸がん検診を必ず受けてください。ワクチンと検診の両方で予防効果が最大になります。
Qどのワクチンを選べばよいですか?
A最も多くの型をカバーするのは9価ワクチン(シルガード9)で、子宮頸がんの原因の約80~90%を防ぎます。定期接種の対象の方は9価も無料で接種できます。15歳の誕生日前に1回目を接種すれば2回で完了できる点もメリットです。
Q副反応が心配です。接種当日はどう過ごせばよいですか?
A体調のよい日に接種し、接種後30分は院内で安静にお過ごしください。当日の激しい運動は控え、接種部位は強くこすらないようにしてください。入浴は可能です。接種後に気になる症状があれば、いつでも当院へご連絡ください。
ワクチン接種をご希望の方は、事前にお電話でご連絡ください
前川内科(三重県津市垂水南浦1425)
院長 前川 直志
※ワクチンの在庫をご用意するため、ご予約をお願いしています。津市発行の予診票をお持ちの方はご持参ください。