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過敏性腸症候群(IBS)
検査では異常がないのに、
お腹の不調が続いている——
そんなつらさを感じているあなたへ。
ひとりで抱え込まず、
一緒に考えましょう。
💬 こんなことで悩んでいませんか?
✔ お腹の痛みや下痢・便秘が繰り返され、毎日の生活が不安
✔ 仕事や学校に行く前に必ずお腹が痛くなる
✔ 外出先やトイレのない場所でのお腹の心配が頭から離れない
✔ 検査で「異常なし」と言われたのに症状が続いている
✔ ストレスが多い時期に特にお腹の調子が悪くなる
✔ 受験・就職・転勤など、生活の変わり目からお腹の不調が始まった
📋 過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、大腸や小腸に炎症やがんなどの明らかな病変がないにもかかわらず、腹痛・腹部不快感とともに、下痢・便秘・あるいはその両方が繰り返し起こる病気です。
日本では消化器外来を受診する患者さんの約30%がIBSを抱えているとも言われており、決してめずらしい病気ではありません。
近年の研究では、脳と腸が密接に影響し合う「脳腸相関」の乱れが発症に深く関わっていることがわかってきました。ストレスや不安が腸の働きを乱し、腸の不調がまたストレスを生む——そういう悪循環が起きやすい病気です。
🔍 症状と病型
主な症状は腹痛・お腹の不快感で、これに伴って便通の異常(下痢・便秘・その両方)が起こります。症状は排便することで一時的にやわらぐことが多いです。
国際的な診断基準(Rome IV)に基づき、便の状態によって4つのタイプに分かれます:
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下痢型(IBS-D)
軟便・水様便が多い。突然の腹痛とともにトイレに行きたくなる。男性に多い傾向。
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混合型(IBS-M)
下痢と便秘が交互に繰り返される。症状が変わりやすく、どちらとも言えないタイプ。
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便秘型(IBS-C)
硬便・兎糞状便が多い。腹部膨満感や残便感を伴うことも。女性に多い傾向。
病型は固定されているわけではなく、時期によって変わることがあります。治療薬の選択に関わるため、受診時に現在の便の状態を教えていただくことが重要です。
🧠 原因・メカニズム
IBSの原因はひとつではなく、複数の要因が絡み合っていると考えられています。
①
脳腸相関の異常:脳と腸は自律神経・ホルモンを通じて密接につながっており、不安・緊張・ストレスが腸の動きを乱します。
②
内臓知覚過敏:健康な人なら気にならない腸の動きや張りを、強い痛みとして感じやすくなっています。
③
腸内細菌叢の乱れ:腸内の細菌バランスが崩れることで症状が起きやすくなることが近年の研究でわかってきました。
④
感染性胃腸炎後:ノロウイルスなどの感染後に発症するIBS(感染後IBS)も知られており、発症リスクが高まります。
📋 診断のポイント
国際的な診断基準(Rome IV基準)では、「腹痛が直近3か月のうち週に1日以上あり」、以下の3つのうち2つ以上を満たす場合にIBSと診断します:
3
腹痛と一緒に便の状態(柔らかさ・硬さ)が変わる
ただし、診断の前提として器質的な病気を除外することが不可欠です。大腸がん・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)・甲状腺機能異常・糖尿病などが同様の症状を起こすため、血液検査やさらに必要に応じて大腸カメラでこれらの異常がないことを確認します。
🔬 大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は重要な検査です
「お腹の不調が続いているけれど、大腸カメラは怖い…」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、過敏性腸症候群の診断には、大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)を確実に除外することが欠かせません。これらの病気はIBSとよく似た症状を起こすため、内視鏡で腸の中を直接確認することが、安心して治療を進めるための土台になります。
⚠️ こんな症状は早めにご相談ください
▸便に血が混じっている(血便・黒色便)
▸意図しない体重減少が続いている
▸50歳以上で新たに症状が始まった
▸夜中に腹痛・下痢で目が覚める
▸発熱が続いている
これらは大腸がんや炎症性腸疾患など、別の病気のサインである可能性があります。自己判断せず、早めに受診してください。
💊 治療について
IBSの治療は、症状や生活への影響の大きさに合わせて段階的に進めていきます。「完治」よりも、症状とうまく付き合いながら日常生活をらくに過ごせることを目標にします。
Step 1
生活習慣・食事の見直し
規則正しい食生活・睡眠・適度な運動。症状を悪化させる食品(脂っこいもの、アルコール、カフェイン、乳製品など)を避けることも有効です。「低FODMAP食」(腸で発酵しやすい糖質を一時的に控える食事法)が役立つ場合があります。
Step 2
薬物療法
病型に合わせた薬を使います。整腸薬・下痢止め・便秘薬・腸のけいれんをやわらげる薬など、症状に応じて選択します。近年は病型別の新薬も使えるようになっています。
Step 3
ストレス・こころのケア
症状がストレスと強く結びついている場合は、抗不安薬・抗うつ薬の少量使用や、認知行動療法など心理的なアプローチが有効なことがあります。一人で抱え込まずにご相談ください。
🥗 食事のポイント
食事と症状の関係は個人差が大きいため、「自分の腸に合う・合わない」を少しずつ確認することが大切です。一般的に次のことが参考になります。
| 🟢 摂りやすい食品の例 |
🟡 注意が必要な食品の例 |
| 白米・うどん・そば(つなぎなし) |
小麦(パン・パスタ)・たまねぎ・にんにく |
| 鶏むね肉・白身魚・豆腐 |
乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ) |
| にんじん・なす・ほうれん草(加熱) |
豆類(大豆・レンズ豆)・りんご・もも |
| バナナ・みかん・いちご |
脂っこい食品・アルコール・カフェイン |
⚠️ 低FODMAP食はIBSに有効とされていますが、厳しすぎる制限は続かないこともあります。「すべて完璧にやらなければ」と思わず、できる範囲から始めてください。
☀️ 日常生活のヒント
①
毎日同じ時間に食事・睡眠をとる:腸のリズムを整えることが基本です。
②
ウォーキングなど軽い有酸素運動:腸の動きを整え、ストレスも軽減します。
③
ゆっくり食べる・よく噛む:早食い・ドカ食いは腸に負担をかけます。
④
症状日記をつける:どんな食事・状況のときに悪化するかを記録すると、受診時の参考になります。
⑤
ひとりで抱え込まない:IBSはこころの状態と深くつながっています。つらいときは遠慮なく受診・ご相談ください。
❓ よくある質問
症状が完全になくなって「完治」する方もいらっしゃいます。一方で、長く付き合っていく方もいます。いずれにしても、生活習慣の改善・薬・ストレスへの対処を組み合わせることで、多くの方が症状を大幅に軽減できています。「治る可能性は十分ある」と前向きにとらえながら、焦らず一歩ずつ取り組んでいきましょう。
全員に必須というわけではありませんが、血便・体重減少・50歳以上での新規発症・夜間症状など、大腸がんや炎症性腸疾患を疑わせるサインがある場合は強くおすすめします。「異常なし」という結果が得られることで、IBSと自信をもって診断でき、適切な治療を安心して進められます。まずはご相談ください。
ストレスはIBSの重要な悪化要因ですが、「ストレスさえなければ治る」という単純な関係ではありません。腸の過敏性や腸内細菌のバランスなど、ストレス以外の要因も関わっています。ストレスを減らす努力は大切ですが、「もっとがんばらなければ」と自分を追い詰めないことも同じくらい重要です。
はい。IBSは10〜30代の若い方や学生さんに多く見られます。受験・就職・新しい環境など、ストレスの多い時期に発症しやすい傾向があります。「気のせい」ではなく、れっきとした病気ですので、症状が続く場合はぜひご相談ください。
Q
内科で診てもらえますか?消化器科に行くべきですか?
まずはかかりつけの内科・一般内科でご相談いただけます。当院は消化器病専門医が診察しており、問診・血液検査・大腸カメラなどを通じて診断・治療を行います。症状が複雑な場合や、より高度な精密検査が必要と判断した場合は、大学病院などの高度医療機関へご紹介することも可能です。
症状が落ち着いてきたら、段階的に薬を減らしたり、頓服(症状が出たときだけ飲む)に切り替えることもできます。生活習慣の改善が進むと、薬に頼る頻度が減っていく方も多くいらっしゃいます。治療の方針は定期的に見直しながら進めていきます。
FODMAPとは、腸内で発酵しやすく、ガスや腸の過剰な動きを引き起こしやすい糖質の総称です。Fermentable(発酵性)・Oligosaccharides(オリゴ糖)・Disaccharides(二糖類)・Monosaccharides(単糖類)・And・Polyols(糖アルコール)の頭文字をとっています。
具体的には、小麦・たまねぎ・にんにく・乳製品・りんご・豆類・人工甘味料などが高FODMAP食品にあたります。これらを一定期間控えることで腸への刺激を減らし、IBSの症状が改善するかを試みるのが「低FODMAP食」です。
ただし、すべての方に効果があるわけではなく、制限が厳しすぎると食事の楽しみが損なわれることもあります。試してみる際はできる範囲から始め、気になる点は受診時にご相談ください。
お腹の不調がつらくて、
毎日の生活が心配…
そんな方は、まず一度ご相談ください。
検査・診断から
日常生活のアドバイスまで、
一緒に考えていきます。
前川内科(三重県津市)
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監修・執筆 日本消化器病学会 専門医
前川内科では、消化器疾患の診断・治療および大腸カメラ・胃カメラなどの内視鏡検査を行っております。
このページは患者さんへの一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や治療については担当医にご相談ください。