高尿酸血症・痛風
高尿酸血症・痛風の解説と治療
【この記事の監修】 前川内科 院長:前川 直志(日本内科学会認定 総合内科専門医)
「足の指に激痛が走る」ことで知られる痛風ですが、その原因である高尿酸血症は、成人男性の約20〜30%が該当するとも言われる身近な病気です。痛みが落ち着いても高尿酸血症が続くと、腎臓・心血管へのリスクが蓄積します。
1高尿酸血症・痛風の定義と病型
超
(性別問わず)
以下
(痛風結節あり:6.0未満)
以上
著しく高くなる水準
血液中の尿酸は関節液や組織に蓄積し、結晶化することで急性関節炎(痛風発作)を引き起こします。発作は足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に最も多く、数日〜1週間ほどで自然に軽快しますが、高尿酸血症を治療しないと繰り返します。
尿酸の飽和溶解度は37℃で約6.8mg/dLであり、7.0mg/dLを超えると結晶が析出しやすくなります。
高尿酸血症には、尿酸が「作られすぎる」タイプ、「排泄されにくい」タイプ、その両方が関わる混合型があります。いずれのタイプも生活習慣の改善が基本で、必要に応じてタイプに合わせた薬物治療を行います。
2痛風以外の合併症(全身への影響)
「痛みが引いたから大丈夫」は誤りです。高尿酸血症は、関節以外にも全身に悪影響を及ぼします。
3食事療法・生活習慣のポイント
プリン体は体内で尿酸に変換されます。1日の摂取目安は400mg以下。食品中のプリン体だけで尿酸値が大きく変動するわけではありませんが、極端な過剰摂取は避けましょう。
| レベル(100gあたりのプリン体量)/主な食品 |
|---|
| 極めて多い(300mg超) 鶏レバー、マイワシ干物、白子、あんこう肝 |
| 多い(200〜300mg) 豚・牛レバー、カツオ、サンマ干物、エビ |
| 少ない(50mg未満) 野菜・豆腐・卵・乳製品・ご飯・パン類 |
※野菜・豆類はプリン体を含んでいても、食物繊維や抗酸化成分の効果もあり積極的な制限は不要です。
4薬物治療と治療開始の基準値
生活習慣の改善でも尿酸値が改善しない場合や、一定の基準を満たす場合には薬物治療を行います。ガイドラインに基づく治療開始の目安は以下の通りです。
| 状況 | 薬物治療開始の目安 |
|---|---|
| 痛風発作の既往あり・痛風結節あり | 尿酸値の水準にかかわらず適応あり(推奨度1) |
| 無症候性高尿酸血症 +高血圧・虚血性心疾患・CKD・糖尿病・メタボなどの合併症あり |
8.0 mg/dL 以上を目安に開始を検討 |
| 無症候性高尿酸血症 +合併症なし |
9.0 mg/dL 以上を目安に開始を検討 |
| 尿路結石の既往・合併あり | 尿酸値に関わらず治療を考慮。 アロプリノールなどXOR阻害薬を優先 |
出典:日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版〔2022年追補版〕」
治療中の目標値:血清尿酸値 6.0 mg/dL 以下を維持
数値が下がっても関節内の結晶が完全に溶けるまでには数ヶ月〜数年かかります。自己判断での中断は再発のリスクが高く、継続治療が重要です。また治療開始直後は尿酸値変動により痛風発作が誘発されやすいため、少量から開始し徐々に増量します(コルヒチンの予防投与を併用することもあります)。
尿酸降下薬について
尿酸降下薬には「尿酸の産生を抑えるタイプ」と「腎臓からの排泄を促すタイプ」があり、患者さんの体質・合併症に合わせて選択します。いずれも少量から開始して徐々に増量し、目標値(6.0mg/dL以下)に向けて調整します。薬の選択や用量については診察時にご相談ください。
【痛風発作が起きたら】
発作の前兆(関節のうずき・違和感)があればコルヒチン0.5mgの早期服用が有効です。発作の極期(激しい痛みの時期)はNSAIDs(消炎鎮痛薬)の十分量投与が基本です。腎機能障害などでNSAIDsが使えない場合はステロイドを使用します。
発作中に尿酸降下薬を新たに開始することは原則として行いません(発作が悪化するリスクがあるため)。すでに服用中の場合は中断しないでください。
5よくあるご質問(FAQ)
【参考資料】日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版〔2022年追補版〕」診断と治療社 / Minds診療ガイドラインライブラリ(2024年更新)
高尿酸血症は、食事管理とお薬でコントロール可能な病気です。
「痛くないから」と放置せず、将来の腎臓・血管を守るためにご相談ください。
前川内科では総合内科専門医が生活習慣病を総合的に診療いたします。








