帯状疱疹とワクチン

帯状疱疹は、子どもの頃にかかった「水ぼうそう(水痘)」と同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス:VZV)が原因で起こる病気です。
初感染後、ウイルスは神経節に潜伏し続けます。加齢・疲労・ストレス・免疫を低下させる疾患や薬剤などをきっかけに免疫力が落ちると、ウイルスが再活性化して帯状疱疹として発症します。
日本では毎年約60万人が帯状疱疹を発症しています。年齢とともに増加し、70歳代で最も多く、80歳までに約3人に1人が経験すると推定されています(国立感染症研究所)。
加齢以外にも、悪性腫瘍・ステロイドや免疫抑制剤の使用・HIV感染症などでは発症リスクが高くなります(帯状疱疹診療ガイドライン2025)。

初めに神経に沿ったピリピリ・ズキズキとした痛みや皮膚の違和感が現れます。その数日後に、体の左右どちらかに赤い発疹・水ぶくれが帯状に現れます。
皮膚の症状は通常3〜4週間ほど続き、その後かさぶたになって治癒します。頻度は体幹(胸・腹部・背中)が最多で、顔面・頭部にも出ることがあります。
皮膚が治った後も、50歳以上の約20%(5人に1人)で長期間にわたる激しい痛み「帯状疱疹後神経痛(PHN)」が残ることがあります。日常生活に支障をきたすこともあり、早期治療・ワクチン接種によるPHN予防が重要です。

帯状疱疹は部位によって、重篤な合併症を起こすことがあります。
額・まぶた・鼻の周囲など顔の片側に発疹が出た場合、眼に炎症(角膜炎・虹彩炎など)が起こることがあります。放置すると視力低下や失明につながるリスクがあるため、眼科への速やかな受診が必要です。鼻の先端に発疹が出た場合(ハッチンソン徴候)は、特に眼への影響が出やすいとされています。
耳周囲・外耳道に発疹が出て、顔面神経麻痺・耳鳴り・難聴・めまいを伴う場合を「ラムゼイ・ハント症候群」と呼びます。顔面神経麻痺(口や目が動かしにくくなる)が後遺症として残ることもあるため、早期の抗ウイルス薬治療と耳鼻咽喉科への受診が重要です。
発症後できるだけ早く(目安:72時間以内)抗ウイルス薬を内服することが重要です。早期治療により、皮膚症状の回復が早まり、帯状疱疹後神経痛などの後遺症リスクを減らすことができます(帯状疱疹診療ガイドライン2025)。
バラシクロビル(バルトレックスほか):標準的な治療薬。1日3回・7日間の内服。
アメナメビル(アメナリーフ):2017年承認の新しいタイプの抗ウイルス薬。1日1回の内服で済み、腎機能低下のある高齢者にも用量調節なく使用できます。飲み忘れが少なくコンプライアンスに優れています。
ファムシクロビル(ファムビルほか):1日3回の内服。
痛みが強い場合は鎮痛薬を組み合わせることもあります。重症例や免疫不全の方では入院・点滴治療を行うこともあります。

適切な食事・十分な睡眠・適度な運動・ストレス管理により、免疫力を低下させないことが基本的な予防策です。
それに加えて、ワクチン(予防接種)が最も効果的な予防法です。発症予防だけでなく、万一発症した際の重症化・帯状疱疹後神経痛の予防にも有効です。

ワクチンにより帯状疱疹の発症を予防し、発症しても軽症で済む可能性が高まります。また帯状疱疹後神経痛(PHN)などの後遺症の予防にもつながります。
接種対象:主に50歳以上の方。リスクが高いと考えられる18歳以上の免疫低下状態の方も対象になります。
対象者:65歳の方(毎年度)、および経過措置期間中に該当する年齢になる方。
津市の定期接種 自己負担額(津市一律):水痘ワクチン 2,600円(1回)/ シングリックス 6,600円(1回あたり)
※定期接種の機会は一人につき一生1回のみです。対象年齢を確認のうえ、接種期間内にお早めにお申し出ください。
ワクチンには次の2種類があります。ご本人の希望・状態・費用に応じて選びます。
| 水痘ワクチン (ビケン等) |
帯状疱疹ワクチン (シングリックス) |
|
|---|---|---|
| 種類 | 弱毒化生ワクチン | 不活化ワクチン (組換えサブユニット) |
| 接種回数 | 1回 | 2回 (2か月間隔) |
| 接種方法 | 皮下注射 | 筋肉内注射 |
| 予防効果 | 約60% | 90%以上 (50歳以上で97%超の報告あり) |
| 効果持続 | 5年程度 | 9年以上 |
| 自費費用 | 9,000円(1回) | 22,000円(1回) 計44,000円(2回) |
| 定期接種 自己負担額 (津市一律) |
2,600円 | 6,600円(1回あたり) 計13,200円(2回) |
| メリット | 価格が安い 1回で完了 |
予防効果が高い 効果が長期間持続 免疫低下の方も接種可 |
| デメリット・ 注意点 |
免疫不全の方※1は接種不可 妊娠中は接種不可 効果・持続期間がやや劣る |
費用が高い 2回接種が必要 副反応※2がやや強め |
※1 免疫不全とは:エイズ(HIV感染症)・抗がん剤治療中・免疫抑制剤使用中・大量ステロイドホルモン使用中などを指します。これらの方は生ワクチン(水痘ワクチン)は接種できません。シングリックス(不活化ワクチン)は接種可能です。
※2 副反応の例:注射部位の痛み・赤み・腫れ(約80%)、全身の筋肉痛・倦怠感・頭痛など。通常は数日で改善します。
ワクチンはお取り寄せに数日かかりますので、事前にお申し込みください。ワクチンが到着し次第、いつでも接種可能です(概ね数日以内)。到着のご連絡は特に行っていませんので、お申し込みから数日後以降にご来院ください。
お申し込み方法:お電話、またはご来院時に受付・診察室にてお申し出ください。
前川内科では、帯状疱疹に関する以下の対応を行っています。
「体の片側にピリピリとした痛みがある」「赤い発疹が出てきた」などの症状がある場合は、まずご受診ください。内科として診察し、必要に応じて抗ウイルス薬の処方を行います。眼や耳に関わる症状がある場合は、速やかに眼科・耳鼻咽喉科への紹介も対応します。
水痘ワクチン(生ワクチン)・シングリックス(不活化ワクチン)のいずれも対応しています。定期接種(津市の公費一部助成)・自費接種の両方に対応します。
ワクチンはお取り寄せのため、事前のお申し込みが必要です。お電話またはご来院時に受付・診察室にてお申し出ください。








