麻疹

 

 もくじ 

1.麻しんとは
2.症状
3.合併症
4.感染経路、感染力
5.治療法
6.予防法
7.ワクチンの効果
8.ワクチンが重要

 

  

 

1. 麻しんとは

 

麻疹(ましん)は麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で、一般的には「はしか」と呼ばれることもあります。

 

発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状と発しんが現れます。肺炎、脳炎といった重い合併症を発症することもあります。

 

感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、その感染力はきわめて強く、免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%が発症します。

 

小児だけではなく、大人も注意が必要です。

 

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2. 麻しんの症状

 

ウイルスに感染後、無症状の時期(潜伏期間)が約 10~12 日続きます。その後症状が出始めます。

症状が出始めてから 3~4 日は 38℃前後の熱とせきと鼻汁、めやにが続きます。

 

それから一時解熱しかけますが、また39~40℃の高熱となり、首すじや顔などから赤い発しんが出始め、その後発しんは全身に広がります。

発しんの出現する前後1~2日には、ほほの粘膜に、コプリック斑と呼ばれる小さな白色の斑点が観察されることがあります。

 

高熱は3~4日で解熱し、次第に発しんも消失しますが、しばらく色素沈着が残ります。

合併症がなければ、主な症状は7~10日で回復しますが、免疫力の回復には1か月程度を要するため、それまでは他の感染症にかからないよう十分な注意が必要になります。

 

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3. 麻しんの合併症

 

麻しんにかかると全身の免疫力が低下するため、30%程度の人で合併症を引き起こすことがあります。また、1,000 人に 1 人程度の割合で死亡することがあります。

 

合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎などがあります。

発生する割合は麻しん患者 100 人中、中耳炎は 7~9 人、肺炎は約 6 人です。脳炎は約 1,000 人に 1 人の割合で発生がみられます。

 

また、麻疹にかかると数年から 10 数年経過した後に亜急性硬化性全脳炎(subacute scleorsing panencephalitis: SSPE)という重い脳炎を発症することがあります。

これは、麻疹にかかった者のうち約 10 万人に 1 人の割合で見られます。知能障害、運動障害が徐々に進行し、発症から平均6~9ヶ月で死に至ります。

 

 

  

4. 感染経路、感染力

 

空気感染(飛沫核感染)が主な感染経路です。

麻しん患者が咳やくしゃみをすると、周囲に麻しんウイルスを含んだしぶきが飛び散り、しぶきが乾燥してウイルスがしばらく空気中を漂います。このウイルスを含んだ空気を吸った人たちに感染する恐れがあります。

その他に飛沫感染、接触感染もあります。

 

感染力はきわめて強く、麻しんの免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染するとされています(インフルエンザでは1~2人)。

不顕性感染(感染はしても発症しない=症状が出ない)はほとんどなく、感染した人の90%以上が発症します。

 

周りへ感染させる期間は、症状の出現する1日前(発しん出現の3~5日前)から発しん消失後4日くらいまで(または解熱後3日くらいまで)とされています。

 

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5. 治療法

 

特効薬はありません。

対症療法(症状を和らげる治療)を行います。

発熱には解熱薬を使います。肺炎などで細菌感染も同時に起こった場合には抗菌薬も使います。

 

 

 

6. 予防法

 

唯一有効な予防方法は、麻しんのワクチンの接種です。

免疫をあらかじめ獲得しておけば、麻しんは予防接種で防げる病気です。

 

定期接種(公費)は下記の予定で行われています。

①第1期 生後12か月以上24か月未満の者

②第2期 5歳以上7歳未満の者であって、小学校入学前の1年間

 

それ以外の対象者は自費で抗体検査やワクチン接種を受けることができます。

抗体検査では、十分な抗体(免疫)があるかを採血で調べることができます。

ワクチン接種はMRワクチンを使用します。

 

麻しんにかかったことがなく、かつ麻しんのワクチンを一度も接種したことがない人は、麻しんに対する免疫を持たないので、最もかかりやすい人たちということになります。

 

自費検査の費用

ワクチンの費用

 

 

 

7. ワクチンの効果

  

 1回のワクチン接種により麻しんの免疫ができる割合は約95%です。

周囲で麻しんの流行があると、免疫のつかない約5%の方は発症する可能性があります。

ワクチン接種を2回受けると約99%の割合で免疫ができると言われています。

 

血中の抗体はワクチン接種後約2週間から出現しますが、麻しんの患者と接触して緊急に発症を予防したい場合、接触後72時間以内に予防接種を受けることで発症を防御できる可能性があります。ただし、100%ではないので、事前に予防接種を受けておくことが重要です。

 

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7. ワクチンが重要です

 

現在、麻しんは「死ぬこともある怖い病気」「ワクチンで防ぐことができる、予防すべき病気」「地球上から排除できる病気」であると考えられています。

 

ワクチン接種で予防することができますので、麻しんの免疫(抗体)がない人は、ぜひワクチンを受けましょう。

 

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