腹部エコー
1.腹部エコーの利点
2.腹部エコーで見る場所
3.検査を受けるときの注意点
4.検査の流れ
5.腹部エコーで分かる病気
5-1.肝臓の病気
5-2.胆嚢の病気
5-3.腎臓の病気
5-4.その他の病気
6.まずは腹部エコーを
腹部エコー検査(腹部超音波検査)は、お腹を超音波で調べる検査です。
超音波検査には、次のような利点があります。
◉ 痛くない
◉ レントゲンやCTのように被曝の心配がない
◉ 短時間で行える
つまり、身体への負担が少なく多くの情報が得られる検査です。
肝臓、胆のう、胆管、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、大動脈など。
肝機能障害を指摘された、これらの臓器に今まで病気を指摘されたことある、腹痛や背部痛がある場合などは腹部エコーを行います。
胃や大腸の病気はほとんど分からないため、胃や大腸の病気の可能がある時は、内視鏡検査を受ける必要があります。
・朝は食べないで来院する(午後受ける場合は昼食を抜く)
・水分は少量なら大丈夫
・膀胱も見るときは、検査前にできるだけトイレに行かない
・毎日の薬はいつも通り服用する
お腹にゼリーとエコーを当てます。
各部位を順番に見ていきます。
息を吸ったり吐いたり止めたりして観察することもあります。
体の向きを変えてみることもあります。
検査は5分~15分位で終わります。
5-1.肝臓の病気
①脂肪肝
肝臓に脂肪がたまった状態です。生活習慣病や飲酒と関係があることが多いです。脂肪肝でも長く続いていると、他の慢性肝炎のように肝硬変や肝臓がんになることもあります。
→脂肪肝についてはこちら
②肝血管腫
血管の集まりでできた肝臓の良性腫瘍です。症状は特にありませんが、徐々に大きくなることもあるため、定期的な経過観察が勧められます。
③肝腫瘍
良性・悪性いずれも色々な腫瘍があります。エコーで診断できるものもありますが、悪性腫瘍が疑われる場合は、造影CTやMRIなどで精密検査を受ける必要があります。
④肝嚢胞
液体がたまった袋状のかたまりです。1個~複数個できることがあります。ほとんど場合は無症状で特に治療はいりませんが、嚢胞が巨大なると腹膨感、圧迫感等の症状が認められ、治療が必要になります。
5-2.胆嚢・胆管の病気
①胆のう結石・胆管結石
胆のう結石は、胆のうの中にできた結石です。無症状のこともありますが、胆嚢炎や胆管炎の原因となります。
胆管結石は、胆管の中にできた結石です。胆管結石は合併症をおこす可能性が高いため、基本的には治療が必要になります。
→胆石症についてはこちら
②胆嚢ポリープ
胆嚢の中にできるポリープです。10mmを超えると悪性の可能性がでてくるため手術が必要になることがあります。それより小さいものであれば治療を行わず経過観察で良いですが、定期的に検査を受ける必要があります。
③胆嚢腺筋腫症
胆嚢の壁の一部あるいは全体が分厚くなる病気です。良性疾患のため経過観察で可能ですが、悪性疾患との鑑別をする必要があります。胆石の合併が多いとも言われているため、定期的な観察が勧められます。
④胆嚢炎
胆のうで起こる炎症です。胆のう胆石が詰まって細菌感染を起こした結果で発症することが多いです。発熱や右上腹部の痛みを伴います。自然軽快する場合もありますが、ほとんどは治療が必要になります。原因次第では最終的には手術が必要になります。
5-3.膵臓の病気
膵臓はお腹の奥の方にあり表面からは診断しにくい臓器です。エコーでもある程度分かりますが、詳しくはCTによる検査が勧められます。
①膵腫瘍
良性・悪性いずれも色々な腫瘍があります。エコーで診断できるものもありますが、悪性腫瘍(膵がん)が疑われる場合は、造影CTやMRIなどで精密検査を受ける必要があります。
②膵嚢胞
液体がたまった袋状のかたまりです。治療せず定期的な観察で大丈夫な場合もありますが、肝嚢胞とは異なり悪性化するものも少なからずあるため、精密検査や手術が必要な場合もあります。
③膵結石
膵臓にできる石灰化です。慢性膵炎に認められることが多いです。小さいものは放置しても問題ありませんが、大きくなると石によって膵液の流れが悪くしてしまう場合もあります。定期的な観察が必要です。
5-4.腎臓の病気
①腎結石
腎臓にできた結石です。尿路に詰まると水腎症をきたして痛みが出ることもあります。10㎜以上の結石は、定期的に観察を受けて下さい。精密検査や高度な治療には泌尿器科を受診して下さい。
②腎嚢胞
液体がたまった袋状のかたまりです。1個~複数個できることがあります。ほとんど場合は無症状で特に治療は要りませんが、嚢胞が大きくなると治療が必要になることがあります。
③腎腫瘍
良性・悪性いずれも色々な腫瘍があります。悪性疾患の場合は治療が必要になるため、泌尿器科で精密検査を受ける必要があります。
5-5.その他の病気
腹水、腹部大動脈瘤、前立腺肥大など様々な病気を発見できます。
経過観察が可能な病気以外は、腹部エコーだけで最終診断をすることは難しい場合があります。特にがんが疑われる場合には、造影CTやMRIなどを行える大きな病院で、さらに詳しく検査して診断し、早く治療を開始する必要があります。エコーの結果で疑わしい病気がある場合はすぐに専門病院へ紹介させていただきます。
腹部エコーは手軽に受けられる検査です。症状がある方、気になる病気がある方は、まずは腹部エコーを受けましょう。身体への負担が少なく早く多くの情報が得られる検査です。
気になる方はお気軽にお申し出ください。