脂肪肝

肝臓は本来、少量の脂肪を含んでいますが、肝細胞全体の5%以上に中性脂肪が沈着した状態を「脂肪肝」といいます。正式には「脂肪性肝疾患(Steatotic Liver Disease)」と呼ばれ、軽度のものから肝硬変・肝不全へと進行するケースまで幅広い病態を含みます。
脂肪肝は自覚症状がほとんどなく、血液検査や腹部エコー(超音波検査)で初めて見つかることがほとんどです。「健診で肝機能が高いと言われた」「お腹のエコーで脂肪肝と言われた」という方は、放置せず受診しましょう。
脂肪肝(SLD:脂肪性肝疾患)はその原因によって、以下の3つに大きく分類されます。
過剰な飲酒によって肝臓での脂肪合成が増加し蓄積します。純アルコール換算で男性60g/日以上(ビール中瓶3本程度)が目安とされますが、個人差があります。
現在最も多い脂肪肝で、以下の代謝異常のいずれか1つ以上を伴う場合にMASLDと診断されます。
上記以外の原因による脂肪肝で、MASLDとは別カテゴリーに分類されます。
※ 日本消化器病学会・日本肝臓学会は2023年にNAFLDからMASLDへの病名変更を承認。診断基準(心代謝系危険因子)は2026年2月に国際基準(EASL/AASLD)への統一が正式決定されました。
※ MASLD(Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)は、以前「NAFLD/NASH」と呼ばれていた病態の新しい国際名称です(2023年改称)。
脂肪肝は「沈黙の病気」とも呼ばれ、ほとんどの場合、自覚症状がありません。まれに右わき腹の違和感・倦怠感・疲れやすさを訴える方もいますが、明確な痛みや黄疸が出る頃には病状が進んでいることもあります。
肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP)の数値上昇、または腹部エコーで指摘される
肝炎・肝硬変に進展すると、倦怠感・黄疸・腹水・むくみなどが現れます
医療機関を受診した方の約30%に、画像で確認できる脂肪肝がみられるといわれており、年々増加しています。脂肪肝の方の70%以上に肥満(BMI≧25)を伴い、メタボリックシンドロームとの合併率も高いです。
脂肪肝の診断には、主に以下の検査を行います。
AST・ALT・γ-GTP・中性脂肪・空腹時血糖・HbA1cなどを確認します。
より詳細な評価が必要な場合に行うことがあります。
炎症・線維化の程度を正確に評価するため、専門施設で行う場合があります。
脂肪肝の治療の中心は生活習慣の改善です。薬よりも食事・運動の見直しが最も効果的であることがわかっています。
当院では血液検査・腹部エコーによる脂肪肝の診断・経過観察を行っています。糖尿病・脂質異常症・高血圧症など生活習慣病の管理も合わせて行いますので、お気軽にご相談ください。








