胆石症
1.胆石症とは
2.胆石のリスク
3-1.胆石の症状①(胆嚢結石)
3-2.胆石の症状②(胆管結石)
4-1.治療①(有症状)
4-2.治療②(無症状)
5.胆石症の予防
胆石とは、胆嚢や胆管にある結石のことです。
胆嚢は、お腹の右上にある肝臓の下にくっついている袋状の臓器です。肝臓で作られた胆汁を一時的に保存し、食事摂取の刺激で胆嚢が収縮して胆汁を分泌し、消化・吸収を助けています。胆汁が胆嚢から分泌されて腸に出るまでの道を胆管と言います。
胆嚢内の石を胆嚢結石、胆管内の石を胆管結石、両方まとめて胆石といいます。
女性、肥満、40歳代、白人、多産婦にできやすいと言われています。また、脂質異常症(高脂血症)、食生活習慣、急激なダイエット、腸管機能低下も関連すると言われています。
胆石があっても症状が出ない場合はありますが、多くの場合は症状を引き起こします。
胆嚢結石がある場合は、痛みが出現する胆石発作、炎症を伴う急性胆嚢炎などの合併症を発症することがあります。
胆石発作は、一時的に胆嚢結石が胆嚢内で詰まることで痛みが出ることです。みぞおちから右の肋骨の下のあたりを中心に痛み、食後数時間以内に痛みが出でます。特に脂肪分を多く含む食事の後に症状が出ることが多いです。痛みは強いですが、自然に治まることがあります。
急性胆嚢炎は、胆嚢結石が詰まったところで感染を合併して炎症を引き起こしている場合です。痛みは同じように胆石発作を同じように出ますが、治療を行わないと改善しません。
胆管結石、特に総胆管にある結石を総胆管結石と呼びます。総胆管結石は、胆嚢より細い胆管の中にあるため、胆石が詰まって症状を起こす可能性が高くなります。また胆管炎や急性膵炎などより重篤な合併症を起こします。
胆管炎では、右上腹部の痛みや吐き気を感じることあります。敗血症になってショック状態になることもあります。
急性膵炎は、胆管内の結石が膵臓の出口をふさぐことで起こります。へそより少し上あたりで少し広めに痛みが出ます。重症になると命に係わる病気です。
一度何らかの症状が出た場合は、またいつか出る可能性が高いため、症状が落ち着いた時に基本的には手術で胆嚢を取ってしまいます。
胆嚢炎や胆管炎や膵炎を起こしている場合は、手術より先に抗生物質やドレナージなどで、炎症が落ち着くまで治療を行います。状態次第では緊急に手術を行います。
胆嚢を取ってしまえば、胆管内に結石ができることがあっても、胆嚢内の結石を再発することはありません。
症状が今まで一度もなくて偶然にみつかった胆嚢結石の場合は、今後も症状を起こさないことが多いので、症状が起きるまでは手術は行わないで経過観察します。ただし、絶対に症状が起きないわけではないため定期に観察し、合併症を起こしていないかなどを確認します。また、胆嚢がんの発症との関連は明らかではありませんが、胆嚢がん患者に胆石を有する人が多いこともあり、腹部エコーによる定期的な観察が勧められます。
総胆管結石の場合は、急性胆管炎や急性膵炎などを合併して重篤になる可能性があるため、無症状であっても経過観察ではなく治療が勧められます。胃カメラのような内視鏡で胆管から石を取り除くか、外科的な手術により胆石を除去します。
総胆管がある限りは治療を行っても、総胆管の結石が再発することはあります。
肥満、糖尿病、脂質異常症などに注意し、規則的な食生活を送り、過食・暴飲暴食を避けることが重要です。脂質を含む食事は過剰摂取しない、食物繊維を摂取する、アルコール飲料・香辛料などの過度の摂取などは避けましょう。
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