胃カメラ

 

1. 胃カメラとは

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、細い管状のスコープを鼻または口から挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。

バリウム検査と異なり、粘膜の色や細かな変化をリアルタイムで確認できるうえ、疑わしい部位があれば同時に組織を採取(生検)して診断できます。早期がん・潰瘍・炎症などを発見するうえで非常に精度の高い検査です。

2. こんな方は受けましょう

以下のような症状がある方は、何らかの病気が隠れている可能性があります。積極的に胃カメラを受けることをお勧めします。
みぞおちが痛む
食欲がない・体重が減った
黒い便が出る
吐き気・嘔吐が続く
胸やけ・酸っぱいものが上がる
飲み込みにくい
貧血・疲れやすい
胃がんの家族歴がある

また、早期のがんは症状が出ないため、症状がなくても定期的な検査が重要です。

厚生労働省の指針(2024年改正)では、50歳以上の方に2年に1回の胃内視鏡検査を対策型検診として推奨しています(特に推奨:50〜69歳)。
ただし、症状がある方や胃がんの家族歴がある方は年齢にかかわらず早めの受診をお勧めします。

3. 検査前の準備

安全・正確な検査のために、以下の準備をお願いしています。

1
前日の食事
前日の夕食は21時までに済ませてください。それ以降は水・お茶以外は召し上がらないでください。
2
当日の絶食
当日の朝食はとらないでください(牛乳・ジュースも不可)。水またはお茶のみ摂取できます。
3
お薬の扱い
降圧剤など常用薬がある方は、事前に医師にご相談ください。
4
車の運転について
鎮静剤を使用しない場合は、検査後も車の運転が可能です。
5
抗血栓薬を服用中の方
ワーファリン・アスピリン・クロピドグレルなどを服用中の方は、必ず事前にお申し出ください。生検時の出血リスクについてご相談します。
⚠ まれな偶発症について
胃カメラ検査では極めてまれに、粘膜からの出血や穿孔(消化管に穴が開くこと)が生じることがあります。日本消化器内視鏡学会の調査(2024年)では、偶発症の発生率は約0.044%と報告されています。万が一の場合にも迅速に対応できる体制を整えておりますが、ご不安な点はお気軽にご相談ください。

検査を受ける前に、下記の説明書・同意書をあらかじめご確認ください。

📄 説明書・同意書を見る →

4. 当院の検査方法

スコープの挿入
直径約5.9mmの細いスコープを鼻(または口)から挿入し、食道・胃・十二指腸を観察します。
観察・所見の記録
病変の有無・状態に応じて丁寧に観察し、記録します。
内視鏡検査|私の工夫 →
検査時間
スコープを挿入してから抜くまで、通常5〜10分程度です。生検がある場合は少し長くなることがあります。
生検(組織採取)
所見によっては検査中に組織を採取します(痛みはほとんどありません)。生検後は粘膜保護薬を処方することもあります。
結果説明
検査終了後、その場で内視鏡画像をご覧いただきながら所見をご説明します。生検の結果は後日(約1〜2週間後)にご報告します。

5. 胃カメラの費用

胃カメラの費用の目安は下記の通りです(概算)。

検査内容 保険適用 自己負担額(目安)
異常が見つからず、観察のみの場合 3割負担 4,000円前後
1割負担 1,500円前後
炎症・潰瘍・腫瘍が見つかり、組織を採取して顕微鏡で調べる検査(生検)を行った場合 3割負担 7,000〜10,000円前後
1割負担 2,500〜3,500円前後
異物(人工物・アニサキスなど)があり、取り出した場合(摘出術) 3割負担 10,000円前後
1割負担 3,500円前後
異常が見つからず、観察のみの場合
3割負担 4,000円前後
1割負担 1,500円前後
炎症・潰瘍・腫瘍が見つかり、組織を採取して顕微鏡で調べる検査(生検)を行った場合
3割負担 7,000〜10,000円前後
1割負担 2,500〜3,500円前後
異物(人工物・アニサキスなど)があり、取り出した場合(摘出術)
3割負担 10,000円前後
1割負担 3,500円前後

※ 上記費用には、初診料・薬代・採血料などは含みません。
※ 費用は保険証の負担割合(1〜3割)により異なります。診療報酬改定により変動することがあります。

自費検査料金はこちら →

6. 当院の経鼻内視鏡 7つの特徴

当院では鼻から行う胃カメラ(経鼻内視鏡)を主に採用しています。

1 オエっとなりにくい

スコープが舌の付け根を通らないため、嘔吐反射が非常に少ないです。若い方など嘔吐反射の強い方にも適しています。

2 痛みがほとんどない

スコープの直径は約5.9mm。先端面積は口から行う内視鏡の約39%で、身体的な負担が大幅に軽減されます。

3 検査中に会話ができる

のどへの直接麻酔を使用しないため、検査中も医師と言葉でやり取りができます。

4 心肺機能への負担が少ない

心機能・呼吸機能への影響が少なく、誤嚥リスクの低減にもつながるため、高齢の方や心肺機能に不安のある方にも適しています。

5 鎮静剤は基本的に不要

苦痛が少ないため鎮静剤を使わずに検査でき、終了後すぐにお帰りいただけます。鎮静剤を使用しない場合は、検査後も車の運転が可能です。
鎮静剤を使った内視鏡検査について →

6 内視鏡専門医が施行

日本消化器内視鏡学会認定の内視鏡専門医が検査を行います。観察精度・安全性への高い意識で診療にあたります。

7 口からの内視鏡にも変更可能

鼻の通りが狭い方・鼻出血が起きやすい方は、口から細径スコープを挿入することもできます。通常の口からの内視鏡より楽に受けられます。

7. 見つかる病気

胃カメラで発見できる代表的な病気を紹介します。

胃がん・食道がん

早期がんから進行がんまで発見できます。早期胃がん・早期食道がんの5年生存率は90%以上と非常に良好です。早期であれば、外科手術なしに内視鏡だけで切除・治癒できるケースも多く、胃や食道をそのまま残すことができます。早期発見が治療の選択肢を広げます。

消化器がんの早期発見について →
胃潰瘍・十二指腸潰瘍

みぞおちの痛みや黒い便(タール便)は潰瘍のサインです。放置すると消化管穿孔(穴があく)を起こし、緊急手術が必要になる場合もあります。適切な薬物療法で治癒できる病気ですので、早期発見が大切です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の解説はこちら →
慢性胃炎・ピロリ菌感染

慢性胃炎の多くはヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与しています。ピロリ菌は胃炎・胃潰瘍・胃がんのリスク因子とされており、胃カメラで胃炎を確認した後、保険適用でピロリ菌検査を受けることができます。当院では主に採血(ピロリ菌抗体検査)、または便中ピロリ抗原検査で診断を行っています。除菌成功後は胃がんリスクが低下することが示されています。

ピロリ菌感染の解説はこちら →
逆流性食道炎

胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状が続く場合、逆流性食道炎の可能性があります。食道裂孔ヘルニア(胃と食道の境目が緩い状態)を伴う方は特になりやすい傾向があります。胃カメラで食道粘膜の状態を確認し、適切な治療につなげます。

逆流性食道炎の解説はこちら →
胃ポリープ

胃の粘膜にできる隆起性病変です。多くは良性ですが、種類によっては定期的な経過観察や切除が必要なものもあります。胃カメラで形状や色調を観察し、必要に応じて生検で確定診断を行います。

8. その後のフォロー

胃の病気は一度検査して「異常なし」だった場合でも、数年後に新たな病変が出てくることがあります。対策型検診では2年に1回の検査が推奨されていますが、慢性胃炎がある方・がんの治療をされた方・ピロリ菌除菌後の方は、年に1回の定期的な内視鏡検査をお勧めします。

「何年か前に胃カメラを受けたきり」という方も、ぜひ一度ご受診ください。

9. よくある質問(FAQ)

胃カメラは何歳から受けるべきですか?
厚生労働省の指針(2024年改正)では、対策型胃がん検診として50歳以上の方に2年に1回の胃内視鏡検査が推奨されています(特に推奨:50〜69歳)。
ただし、みぞおちの痛み・黒い便・体重減少・貧血・飲み込みにくさなどの症状がある方、胃がんの家族歴がある方は、年齢に関係なく早めの受診をお勧めします。
胃バリウム検査と胃カメラ、どちらがよいですか?
胃カメラは粘膜を直接観察し、生検(組織採取)も同時に行えるため、バリウム検査より精度が高く、内視鏡で切除可能な早期がんの発見に優れています。
なお、バリウム検査と胃カメラを毎年交互に受けることは、偽陽性が増えるなどの不利益につながる可能性があると指摘されています。症状のない方は、どちらか一方を選んで受診間隔を守りながら定期的に受けることが大切です。症状のある方はすみやかに胃カメラの受診をお勧めします。
鼻からの内視鏡と口からの内視鏡は何が違いますか?
観察できる範囲(食道・胃・十二指腸)はどちらも同じです。
経鼻内視鏡(鼻から)はスコープが細く(約5.9mm)、舌の付け根を通らないため嘔吐感が少なく、検査中に会話もできます。鎮静剤が不要なため運転制限もありません。
鼻の通りが狭い方などは口からの細径スコープに変更できます。
検査の前日・当日の準備を教えてください。
前日:夕食は21時までに済ませ、以降は水・お茶以外は摂らないでください。
当日:朝食はとらず、水またはお茶のみ摂取できます(牛乳・ジュースは不可)。
常用薬がある方は事前に医師へご相談ください。鎮静剤を使用しない場合は、検査後も車の運転が可能です。
ピロリ菌の検査は胃カメラと一緒にできますか?
はい。胃カメラで慢性胃炎が確認された場合、保険適用でピロリ菌検査を行うことができます。当院では主に採血(ピロリ菌抗体検査)、または便中ピロリ抗原検査で診断を行っています。陽性であれば除菌治療(抗生物質・胃酸分泌抑制薬の組み合わせ)を行い、除菌判定には便中ピロリ抗原検査を用いています。除菌成功後は胃がんリスクの低下が期待できます。
組織を取ると(生検)費用は高くなりますか?
生検を行うと病理検査の費用が加わるため、観察のみの場合より費用は上がります。保険診療(3割負担)の場合、観察のみより数千円程度の追加になるのが一般的です。
詳しくはページ内「胃カメラの費用」の料金表をご参照いただくか、お電話でお問い合わせください。
検査後すぐに食事・飲酒はできますか?
経鼻内視鏡では、のどに麻酔薬が少量流れて効いています。そのため、検査終了後は水分は30分後、食事は1時間後から摂取できます。
検査に異常がなく、生検(組織採取)も行っていない場合は、食事・飲酒ともに通常通りの食生活が可能です。生検を行った場合の詳細は、検査当日に医師がご説明します。

胃カメラのご予約はオンラインでも承っております(24時間受付)。

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この記事の監修・執筆者
前川内科 院長 前川 直志(まえがわ ただし)
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
三重県津市にて、地域に根ざした消化器内科・内視鏡診療を行っています。
前川内科(三重県津市垂水南浦1425)
最終更新:2026年5月|情報は更新時点のものです。最新情報は診察時にご確認ください。