便潜血検査陽性

 

便潜血検査で「陽性」
と言われた方へ
健康診断・大腸がん検診の結果に「便潜血陽性・要精密検査」と書かれていて、不安になっていませんか。このページでは、陽性の意味と、次に取るべき行動を内視鏡専門医が解説します。
最初にお伝えしたい3つのこと
1陽性=大腸がん、ではありません。陽性の方の大部分はがんではありません。怖がりすぎないでください。
2しかし、陽性は「大腸を一度きちんと調べるべきサイン」です。精密検査(大腸カメラ)は必ず受けてください。
3もしがんが見つかっても、便潜血検査で見つかる段階は早期であることが多く、内視鏡治療で根治できる可能性が高い状態です。
 もくじ 
1. 便潜血検査とはどんな検査?
便潜血検査は、便の中に混じった目に見えないほど微量の血液を検出する検査です。日本の健康診断・大腸がん検診では、ヒトの血液だけに反応する「免疫法(FIT)」が用いられており、食事や薬の制限なしに受けられます。多くは2日分の便を調べる「2日法」で行われます。
大腸がんやポリープの表面は傷つきやすく、便が通過する際にわずかな出血を起こすことがあります。便潜血検査は、この出血を手がかりに「大腸を詳しく調べるべき人」を拾い上げるための検査(スクリーニング検査)です。
便潜血検査を毎年受けることで大腸がんによる死亡が大きく減ることが国内外の研究で示されており、国も40歳以上の方に年1回の受検を推奨しています。ただし、この効果は「陽性になった人がきちんと精密検査を受けること」が前提です。
2. 「陽性」の意味を数字で見る
検診を受けた方のうち、便潜血陽性(要精密検査)と判定されるのはおよそ5〜7%です。陽性となった方が実際に大腸カメラを受けると、おおよそ次のような結果になります。
数%
陽性者のうち大腸がんが
見つかる方の割合
約30〜40%
大腸ポリープ(腺腫)が
見つかる方の割合
約半数
痔・憩室・炎症など、
または明らかな異常なし
つまり、陽性の方の大部分はがんではありません。一方で、放置すればがんになりうる大腸ポリープ(がんの芽)は高い頻度で見つかります。ポリープは大腸カメラでその場で切除でき、将来の大腸がんそのものを予防できます。
また、大腸がんが見つかった場合でも、便潜血検査をきっかけに発見されるがんは無症状の早期がんであることが多く、早期の大腸がんは適切な治療により90%以上の根治が期待できます。開腹手術をせず、内視鏡だけで治療が完結することも少なくありません。
※ 数値は日本対がん協会の大腸がん検診集計、国立がん研究センター「がん情報サービス」等の公表データに基づくおおよその目安です。
3. 陽性を放置するとどうなる?
日本の大腸がん検診の最大の課題は、陽性と判定されても精密検査を受けない方が約3〜4割もいることです。「症状がないから」「忙しいから」「痔のせいだと思うから」という理由で、毎年陽性のまま数年放置してしまう方も少なくありません。
⚠ 放置のリスクは研究で明らかになっています
!便潜血陽性のまま大腸内視鏡検査を受けなかった方は、受けた方に比べて大腸がんで死亡するリスクが大幅に高くなることが報告されています。
!海外の大規模研究では、陽性後の内視鏡検査が10か月以上遅れると、大腸がんの発見率や進行がんの割合が上昇したと報告されています。
!早ければ日帰りの内視鏡治療で切除できたはずの病変が、放置により手術や抗がん剤治療が必要な進行がんになってしまうことがあります。
便潜血陽性は、身体が出してくれた小さなサインです。結果を受け取ったら、なるべく早く(遅くとも数か月以内に)精密検査を受けましょう
4. よくある誤解 ─ その考え、危険かもしれません
誤解「痔があるから、陽性は痔のせいに決まっている」
事実便潜血検査では、痔の出血とがん・ポリープの出血を区別できません。痔と大腸がんが同時に存在することも珍しくなく、「痔のせい」という思い込みでがんの発見が遅れるケースが実際にあります。痔がある方こそ、一度大腸カメラで確認しておくと安心です。
誤解「もう一度便潜血検査を受けて、陰性なら大丈夫」
事実便潜血検査の「やり直し」は推奨されません。がんやポリープからの出血は毎日続くわけではないため、再検査で陰性になっても「病気がない」ことの証明にはなりません。何回陰性が続いても、1回の陽性のほうに意味がある検査です。
誤解「2日のうち1回だけ陽性だから、様子を見ていい」
事実1回のみの陽性でも精密検査が必要です。腫瘍からの出血は間欠的(出たり止まったり)で、たまたま2回目に血液が混じらなかっただけの可能性があります。1回のみの陽性からも大腸がんやポリープは見つかります。
誤解「どこも痛くないし症状もないから、急がなくていい」
事実早期の大腸がんはほとんど自覚症状がありません。「症状がない今」に見つけることが便潜血検査の目的そのものです。腹痛・血便・便通の変化などの症状が出てから見つかるがんは、進行していることが多くなります。
誤解「陽性=がんだろうから、怖くて検査に行けない」
事実陽性の方の大部分はがんではありません。そして、仮にがんであってもこの段階で見つかれば根治率は非常に高いのです。「怖いから調べない」ことこそが、唯一結果を悪くする選択です。不安な気持ちごと、どうぞご相談ください。
5. 精密検査は「大腸内視鏡検査」です
便潜血陽性の精密検査として第一に推奨されているのは全大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。大腸カメラは大腸全体を直接観察でき、疑わしい病変があればその場で組織検査(生検)やポリープ切除まで行える、「診断」と「治療」を同時にできる唯一の検査です。
当院の大腸カメラの特徴
日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医(院長)がすべての検査を担当します
ご希望の方には鎮静剤を使用し、うとうとした状態で楽に受けられます
ポリープが見つかれば、その場で日帰り切除が可能です(10mm以上等は連携病院へご紹介)
BLI・LCIなどの特殊光観察により、小さな病変・平坦な病変の発見に努めています
二酸化炭素送気により、検査後のお腹の張りが少ない検査です
検査の詳しい流れ・前処置・費用については、大腸カメラのページをご覧ください。費用は保険適用で、観察のみなら3割負担で6,000円前後です。
6. 陰性でも安心できないケース
便潜血検査はとても有用な検査ですが、万能ではありません。大腸ポリープがあっても約70%は陰性になり、早期の大腸がんでも約40%は陰性になります(進行がんでも1〜2割は陰性です)。
そのため、便潜血が陰性でも次のような方は大腸カメラをご検討ください。
血便・黒色便が出たことがある
便秘・下痢・便が細いなど便通の変化が続いている
ご家族に大腸がんの方がいる
以前に大腸ポリープを指摘・切除されたことがある
40歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない
7. 受診から検査までの流れ
1
大腸カメラの検査日を予約 (WEB・お電話)
検査の日程は、初めて受診される前でもWEBまたはお電話でご予約いただけます。先に外来を受診し、診察室でご相談のうえ予約を取ることも可能です。診察室での予約の場合、通常の予約枠以外の早めの日程をご案内できることがあります。
2
外来を受診 (検査日の2日前までに必須)
健診・検診の結果票をお持ちください。服用中のお薬がある方はお薬手帳もご持参ください。問診・診察のうえ、検査のご説明と下剤の処方を行います。※外来診療は予約なしでも受診いただけます(WEB予約もご利用いただけます)。
3
前処置・大腸カメラ検査 (15〜30分程度)
検査前日は消化の良い食事をとり、当日は腸管洗浄液(下剤)で腸内をきれいにします。手順は診察時に詳しくご説明しますのでご安心ください。検査ではご希望に応じて鎮静剤を使用します。ポリープが見つかれば、その場で切除できる場合があります。
4
結果の説明・今後の方針
内視鏡画像をお見せしながら結果をご説明します。ポリープを切除した場合は病理検査の結果をもとに、次回検査の時期(サーベイランス)をご提案します。
「きっと大丈夫」を、「調べたから大丈夫」に。
便潜血陽性の結果票を、そのまま引き出しにしまわないでください。
津市のかかりつけ医・内視鏡専門医として、お一人おひとりの不安に寄り添います。
WEB予約は初診・再診いずれの方もご利用いただけます。
8. よくある質問(FAQ)
いいえ。便潜血検査のやり直しは推奨されません。がんやポリープからの出血は毎日続くとは限らず、再検査で陰性になっても病気がないことの証明にはなりません。一度でも陽性になった場合は、大腸カメラによる精密検査が必要です。
はい、必要です。2回のうち1回だけの陽性でも精密検査の対象になります。腫瘍からの出血は間欠的(出たり止まったり)であるため、1回のみの陽性でも大腸がんやポリープが見つかることがあります。
痔がある方でも精密検査は必要です。便潜血検査では痔の出血とがん・ポリープの出血を区別できず、痔と大腸の病気が同時に存在することも珍しくありません。「痔のせい」という自己判断で発見が遅れるケースが実際にあります。
陽性の方のうち大腸がんが見つかるのは数%程度です。大部分の方はがんではありませんが、大腸ポリープ(がんの芽)は高い頻度で見つかります。がんであっても、この段階で見つかるものは無症状の早期がんであることが多く、根治できる可能性が高い状態です。
はい。早期の大腸がんはほとんど自覚症状がありません。症状がない今の段階で見つけることこそが便潜血検査の目的です。陽性を放置して症状が出てから受診した場合、死亡リスクが大幅に高くなることが報告されています。
できるだけ早く、遅くとも数か月以内をお勧めします。海外の大規模研究では、陽性後の大腸カメラが10か月以上遅れると、大腸がんの発見率や進行がんの割合が上昇したと報告されています。
第一に推奨されているのは全大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。大腸全体を直接観察でき、病変が見つかればその場で組織検査やポリープ切除まで行える唯一の検査だからです。大腸カメラの実施が難しい場合には、大腸CT検査などが選択肢となることがあります。まずはご相談ください。
直近の大腸カメラで異常がなかった場合の対応は、前回の検査の時期や内容、ポリープの切除歴・家族歴などによって異なります。一律の決まりはありませんので、自己判断で放置せず一度ご相談ください。診察のうえで最適な方針をご提案します。
便潜血陽性の精密検査は保険適用です。観察のみの場合は3割負担で6,000円前後、生検を行った場合は9,000〜17,000円前後、ポリープ切除を行った場合は20,000〜25,000円前後が目安です。詳しくは大腸カメラのページをご覧ください。
生理中の採便では経血が混入して陽性になることがあります。ただし、偽陽性かどうかを自己判断することはできず、「たまたま生理と重なっただけ」と思い込んで本当の病変を見逃すリスクがあります。陽性と判定された以上、一度ご相談いただくことをお勧めします。
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この記事の監修・執筆者
前川内科 院長 前川 直志
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本内科学会認定 総合内科専門医
三重県津市にて、地域に根差した消化器内科・内視鏡診療を行っています。便潜血陽性の方の精密検査(大腸カメラ)を通じて、地域の大腸がんの早期発見・予防に取り組んでいます。